知られてはいけない恋
世の中には、決して知られてはいけない、墓場まで持っていかなくてはならない恋というものが、確かに存在するのでございます。
人目をはばかり、隠れるようにしてつかの間の逢瀬を楽しむことが、どれほどせつなく、そして、どれほど燃え上がるものなのか、皆様方はご存知でしょうか?
しかも、世間に名を知られている方との愛の刹那。
まるで焦がされてしまうほどの熱を持って、お互いの体のあらゆる場所を確かめあうのです。
そう、決して人様に知られることなく・・・・。
しかしながら、そのような愛の日々は長くは続かないのでございます。
写真週刊誌、芸能マスコミなど、スキャンダルを血眼になって探している人たちが多い昨今、わたくしたちの身の回りにも不穏な空気が流れ出してきたとたん、恋は終わってしまうものなのです。
えぇ、わたくしは日陰の女。
それ以上でも、そしてそれ以下でもないのです。
ただ、突然きた別離を潔く受け入れ、また明日を生きていかねばなりません。
わたくしを通り過ぎていった殿方たちは、それでも生き生きとご自分の住む世界へとお戻りになり、またすばらしい作品や演技を世間様に披露なさるのです。
そう、何も無かったかのように。
わたくしはそれを遠くから見つめ、ひとつの恋の思い出として、そっと胸にしまうことしかできないのです。
日陰の女の宿命として。